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2023年に販売を開始した生分解性マルチシート「NINJAマルチ」。
NINJAマルチは作物収穫後のマルチシートの回収作業がなく、また完全分解するため廃棄も不要な生分解性マルチシートです。
そんな生分解マルチシートですが、メリットを書いてるページはたくさんあるけど、ぶっちゃけデメリットとかどうなの。
恒例「イセエビ」が、商品ページや公式ページに書けないあれやこれやを「道野社長」にインタビューしました。
イセエビ:道野社長、今日は厳しいインタビューになりますよ、よろしくお願いします。
道野:よ、、よろしく。(怖いなー、ぴえんだなー)
イセエビ:僭越ながらですが、忍者のように姿を消す「NINJAマルチ」、好評みたいですね。
しかも、販売時には実際に農家さんの畑に訪問されていると
道野:はい、、この2年間で北は北海道、南は鹿児島まで100件以上の農家さんに行きました。

全国各地の農家さんへ訪問実績あり(とりあえずピン多め)
イセエビ:それ、単なる旅行だったんじゃないですか?本当に行ってたんですか?であれば特に印象に残っている地域のエピソードとか当然ありますよね。
道野:(ひー、こいつ出張申請の中身とか見てるんじゃないだろうな)
そ、そう北海道は雪が多いから5月から10月末までの短期決戦。
40-50haを2人とか少人数で管理するから、100馬力超えのトラクターとか印象的でしたね。

海外を彷彿とさせる北海道の畑(決して海鮮がうまかったとは言えるまい)
道野:そうそう、本州では二期作だわ二期作。特に印象に残っているのがキャベツ、白菜、レタスなど長野県の畑。
30℃を超える中で、白黒マルチで地温を下げたり、大雨に備えて全面マルチ、なんていうのも印象に残ってる。

長野県の高原野菜(ワインもおいしい)
イセエビ:写真横のコメントがいちいち癇に障りますが、気を取り直して質問します。いいでしょうか。
道野:いいですよ。(心の中の声が画像のキャプションに表れてしまった)
イセエビ:では、第一問。NINJAマルチはどれくらいの期間で分解しますか?
道野:これは待ってました!の質問です。基本的には4ヶ月で急速に分解始めるよ♪だ・け・ど、気温、日照時間、土の状態で変わる。というのがベストアンサー。
ざっくりいうと夏は分解が進みやく冬は分解が遅い。九州は分解が早いし、北日本は分解が遅いと覚えとくといいよ。
イセエビ:表には出せないですけど、北日本の地域で分解遅くない?って言われたことありますもんね
道野:いやいやイセエビさん、こんなジャーナルのこんな深い部分見る人どうせいないだろうからって、そんな情報やめてくださいよー。
すごくポジティブに言い換えると、関東以北の地域で収穫まで120-150日かかるさつまいも畑で最後までしっかりマルチの効果が発揮されたともいえるよね。

展張から150日でもしっかりと守るNINJAマルチ(強がりではありません)
道野:結局、北日本だったり平均気温が低い地域の農家さんには仕様を変えて、満足してもらえるよう努力してるしさ。ていうかね、実際生分解性マルチシートについてお客さんから一番多い相談て、分解しない。ではなくて、展張後1-2ヶ月で起きる裾切れなんですよ、イセエビくん。

裾切れ(多分マルチメーカー公式サイトで初掲載)
イセエビ:やっぱり、問題があったんですね。この問題はNINJAマルチにだけに起きてるんですね?
道野:違う、違う、それだけは違う。すべての生分解マルチシートに起きる。この裾切れの問題、ほとんどの場合が生分解マルチシート側ではなくて、マルチャーのテンションが強すぎるなどマルチャー側が原因。ローラーのバネのテンションだったり、土の被せる量を減らすと、おおよそは防げることが分かってる。
イセエビ:何か他人任せなような回答で誠実さについて疑義が残りますが、商品だけではなくそれを展張する機械の調整も大事ということですね(じーーっ)。ついでに聞きますけど、収穫後のロータリーに生分解マルチシートが巻き付いたりとか大丈夫なんですよね?
道野:ないない、基本ない。あっ、例えば120日分解モデルなのに、90日とか少し早い時期に回収してロータリーかけると、マルチがまだ強さを持っているので、巻き付くというのは聞いたことがあるよ。ただ90日でも分解は進んでいるので、過去にはその問題あまり聞いたことがないけど………
イセエビ:マルチを張った日を記録しておくと良さそうですね。
道野:…………

日付を書いたら120日後が誰でも分かるように(イセエビ案)
イセエビ:全国に販売し、課題にもぶつかりながら人気も徐々にでてきているNINJAマルチ。ここまでの実績について教えてください。
道野:そうそう課題にもぶつかりながら、人気が徐々に出てきてるのは、事実!実績のある地域はね、鹿児島から今は茨城県まで。野菜の種類は多岐にわたって、さつまいもや里芋じゃがいものイモ類。かぼちゃ、とうもろこし、玉ねぎ、にんじん、にんにく、キャベツ、白菜、レタス。マルチを張った方が良い作物であれば、ほとんど使ってもらいました。
土寄せが必要な白ネギ、土壌消毒が必要なタバコとか生育途中にマルチをはがす必要がある作物には生分解性マルチは向かないよねと使ってもらってません。
イセエビ:なるほど、一部使えない作物もあるけど、ポリマルチとほぼ同様にNINJAマルチ使えてるんですね。

全国各地で活躍中のNINJAマルチ
イセエビ:NINJAマルチシリーズから白黒マルチが開発中だと聞きました。白黒マルチについて詳しく教えてもらえますか。
道野:(どこからそんな情報が漏れたんやー)
よ、よくご存じで。そう白黒マルチを現在開発しています。ここ数年夏めちゃくちゃ暑いよね。雑草予防で黒マルチをすると地温が40℃以上にもなる。そんな時に使うのが表面が白、裏面が黒の白黒マルチ。この白黒マルチを使うと太陽の光を反射するので、黒マルチと比較して地温が10℃も下がるというもの。

完全情報非公開の白黒マルチ
道野:これは完全に非公開資料だけど、これがその記録。

【社外秘】マルチの色で大きく差が出る地温
道野:これもまだ一般には非公表だけど、すでに試験では黒マルチと白黒マルチでその効果は10℃も違うということが分かってる。
イセエビ:10℃も!?(すごい、公表してしまっています)
道野:野菜にとって40℃はサウナ、30℃は水風呂ってところか。
イセエビ:……………………(なんという例えなんだ)
道野:これは出していい情報だけど、野菜の生育適正温度。

【公開可】野菜の育成には気温が大きく影響する
道野:ほとんどの野菜って30℃以下の気温が適正生育気温。雑草を抑制しながら、地温を下げる白黒マルチは、これからの夏にはぴったりだろうね。ちゃんと公開していい情報とそうじゃない情報分けて公開してね。
イセエビ:ラジャーです!!
イセエビ:ここまでインタビューしてきて、意外に誠実に取り組まれていることが伝わってきました。もうスペース的に最後になりますが、生分解マルチメーカーとしてのこだわりを手短に教えてください。
道野:OK,OK。
実際に農家さんを訪問して、直接話を聞くこと。本当に必要な要素を理解してそれを商品化すること。

現場に行って、見て、聞いて(一緒にご飯も食べます)
イセエビ:くっー、厳しいインタビューになるところが、最後はなんだか感銘を受けちゃいましたよ。わたし

今回の記事をまとめている中で特に驚いたのは、これまでに100件以上の農家さんを訪問していたことです。
「そんなに!?」と思わず声が出ました。
畑に足を運び、現地で飲み食いし、自分の手で農作業までやってしまう道野社長の姿を見て、あぁこれが現場主義、まさに三現主義なんだなと実感しました。その姿勢に、勝手ながら将来の自分の姿を少し重ねました。
ちなみに、実験の様子などはInstagramでも発信しているので、興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね!
👉https://www.instagram.com/ninja_mulch/
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。次回もお楽しみに!
この記事を書いたのは
タンクトップNAOYA
2025年オーミヤ入社。週2ジム通い、生粋のタンクトッパー。
開発課志望だったはずが、
気付けばタンクトップで畑仕事とSNS担当に——。
いまは全力で、タンクトップと経験値を積み上げ中。